免疫抗体食品研究協会 I-FA

  ***** 【注意】当協会では厚生労働省の輸入許可が下りていない個人輸入のみの製品については推奨していません。 ***** 当協会では参考書籍以外商品等の販売はしておりません。 *****
HOME 理事長ご挨拶 免疫抗体食品研究協会について 免疫ミルクについて 免疫プロテインについて 医学情報
お問合わせ


食欲Ⅱ ダイエットと食欲
慶應義塾大学医学部
医学教育統轄センター
教授  鈴木秀和


グレリンは、主に胃から分泌されるペプチドホルモンで、脳の奥の方にある、脳下垂体というところに働いて、成長ホルモンの分泌を刺激し、あるいは、視床下部というところに働いて食欲を増進することは前回お話ししました。食欲を増進するということは、大変よいことですが、ダイエットしたい、痩せたいと思っている場合には、この食欲増進は、空腹感増強ということですので、ダイエットの成功には都合が悪いわけです。では、どういった場合に、グレリンが増加して、空腹感が増強するのでしょうか?
その一つが、睡眠です。一般に、睡眠が不足すると、グレリンというホルモンが増加するのです。やせ型の健常人における海外の研究では、睡眠時間を制限すると、正常な睡眠をさせた群に比べて、グレリンが有意に増えることがわかりました。一方で、食欲を抑制する働きをもつ、レプチンや膵ポリペプチド(pancreatic polypeptide:PP)のレベルは、睡眠時間を制限した場合と正常睡眠の場合で違いがありませんでした。

特に、睡眠制限群では、おやつや間食でのカロリーの摂取、特に炭水化物の摂取が多くなってしまうようです。また、この研究では、睡眠制限をした人の夕方のグレリン値の上昇と甘いものによるカロリー摂取が相関することがわかりました。睡眠不足が続くと、夕方、甘いものがほしくなって、ついつい食べてしまい、これが肥満につながるようです。頑張って、ダイエットに挑んでいても、睡眠を充分にとっていないと、空腹感を克服するのがより辛くなるわけです。
もう一つは、ストレスです。もちろん、ストレスが強すぎて、食欲がでなくなることもありますが、一方で、ストレスを感じて、睡眠不足の時と同様に、グレリンが多く分泌され、空腹を感じてしまうことがあります。この場合、ストレスが強いほどグレリンの分泌量が多くなり、空腹感も強くなり、いわゆる、ストレス食い、あるいは、やけ食いをしてしまう原因となるわけです。ダイエットに挑むときは、心身ともに健康な状態であることが重要です。

最近では、糖質制限の方が減量しやすいといわれていますが、血糖値が低くなると、グレリンは上がって、空腹感はますます増強するように思えますが、そうではないのです。その鍵は、ケトン体にあります。ケトン体に含まれる「β-ヒドロキシ酪酸」という物質は、以前から、食欲を低下させる効果があることがわかっていました。このケトン体が、絶食によるグレリンの上昇を抑制するために、食欲、あるいは空腹感が抑えられることがわかってきたのです。
結果として、食事摂取量が減り、摂取カロリーは低下します。極端な糖質制限をして、糖質摂取がゼロに近くなった場合でも、健常であれば、血糖値は正常の下限あたりで維持されます。なぜかというと、肝臓で、アミノ酸とかグリセロールからブドウ糖がつくられてくるからです。これが、生化学の講義ででてくる、「糖新生:gluconeogenesis」です。だから、糖質制限ダイエットをしても、低血糖は起きにくいのです。糖新生には、エネルギーが必要なので、ここで、カロリーが消費されるので、一石二鳥です。ケトン体食は、単なるカロリー制限よりも、摂取カロリーは多くても、カロリー消費も多くなることで、ダイエット効果が高いというわけです。

最近では、低糖質食と高脂肪食を組み合わせた超低糖質ケトン食が、膵臓でのインスリン分泌を低下させ、エネルギー消費も増やしつつ、脂肪の分解を促進すること、ケトン体が増えるために、グレリンが抑制されて、空腹感をコントロールできること、ケトン体が呼気や尿に排泄されるので、エネルギー消費になることから、ダイエット効果が高いといわれています。
また、単に体重が落ちればいいというわけではなく、脂肪が減って、筋肉は減らないのがよいダイエットといえますが、超低糖質ケトン食では、筋肉量は維持されるので、サルコペニアを誘導するリスクも少ないようです。
食欲をコントロールするのは、現代のような飽食時代には重要ですが、代謝の段階で、うまくグレリンをコントロールする工夫が必要なようです。

【参考文献】
Broussard JL, Kilkus JM, Delebecque F, Abraham V, Day A, Whitmore HR, Tasali
E. Elevated ghrelin predicts food intake during experimental sleep restriction.
Obesity (Silver Spring). 2016 Jan;24(1):132-8. doi: 10.1002/oby.21321. Epub 2015
Oct 15. PubMed PMID: 26467988; PubMed Central PMCID: PMC4688118.

Sumithran P, Prendergast LA, Delbridge E, Purcell K, Shulkes A, Kriketos A,
Proietto J. Ketosis and appetite-mediating nutrients and hormones after weight
loss. Eur J Clin Nutr. 2013 Jul;67(7):759-64. doi: 10.1038/ejcn.2013.90. Epub
2013 May 1. PubMed PMID: 23632752.

Merra G, Miranda R, Barrucco S, Gualtieri P, Mazza M, Moriconi E, Marchetti M,
Chang TF, De Lorenzo A, Di Renzo L. Very-low-calorie ketogenic diet with
aminoacid supplement versus very low restricted-calorie diet for preserving
muscle mass during weight loss: a pilot double-blind study. Eur Rev Med Pharmacol
Sci. 2016 Jul;20(12):2613-21. PubMed PMID: 27383313.




毎日を健康に過ごしたい人の小冊子 『これ一冊でわかる免疫と免疫ミルク』
大切な体を守る驚異の力 免疫力をアップする「免疫ミルク」とは?
第一章 危険から体を守る『免疫のしくみ』
第二章 健康を左右する最大の基地『腸管免疫』
第三章 なぜ今『免疫』なのか 第四章 免疫抗体食品『免疫ミルク』
第五章 『免疫ミルク』の効果と実体験 Q&A 野本教授:『健康の基礎を育てる免疫抗体食品』
総監修:九州大学名誉教授      
野本 亀久雄医学博士 
配布手数料:1冊 300円(送料・税込)

ご希望の方は「お問合わせ」のメールフォームよりお申込みください。


免疫抗体食品研究協会 I-FA
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-1-11 青山SIビル
TEL 03-3498-2833 FAX 03-3498-2833 E-mail:info@i-fa.jp
Copyright © 2009-2024 *免疫抗体食品研究協会 I-FA All Rights Reserved. Powered by POOSNET